ピカ子の話 – 第5回

7月30日
わたしはピカ子。爪とぎ大好きな1歳の三毛だ。

今日は出窓の下を行き交う人たちの様子が少し違う。女の子や子供たちが変わった服を来てそわそわとどこかへ向かっていく。ドンドコと不思議な音も聞こえる。「祭りだよ、ピカちゃん」「あれは、ゆかた」と言われた。暑い夏の夜だ。
ピカ子出窓

そういえば今週は大変なことがあった。このスタジオには「打ち合わせ」とかいって知らない人がくることがある。ネコスタッフは夜勤なので、昼はそれぞれ好きなところに隠れて寝ていて会うことはないんだけど、その日は違った。わたしがクロゼットのダンポール箱の中で寝ていると、知らない人の足音が近づいてきて「ピカちゃん」と声をかけられた。それはもう怖かった。わたしは平たくなって逃げてどうにかベッドの下に隠れることができた。

昔の話になるけど、わたしのいたシェルターでは里親会という日が時々あって、これがものすごく怖いんだ。知らないヒトがたくさん出たり入ったりして、わたしはいつもネコトイレの中に隠れた。フタのついてないネコトイレなら平たくなって顔が見えないようにした。「そんなだとなかなか里親さん見つからないよ、なれるとなつこいのにね」と言われたけどわたしには意味がわからない。なれた人は大好きだけど、知らない人がこわいのは当然だ。

ミニ本棚の上のピカ子

話はかわるが、わたしは爪をとぐのが大好きだ。爪とぎはいくつか置いてあって、暇さえあればバリバリやっている。ここのネコスタッフの一番人気は、猫の背丈ほどの段ボールでできた赤の爪とぎだ。皆よくここにきて伸びながら気持ちよさそうにバリバリやっている。下には円形の黒くて小さなカーペットが敷かれていて、ここでもバリバリできるのが嬉しい。

ピカ子爪とぎレッド

ピカ子爪とぎレッド

ピカ子爪とぎレッド

わたし専用の爪とぎもある。小さなベッドのような形をしていて、背の部分にMon Petitと横文字で書かれている。ここのヒトがめんどうだと愚痴りながらもモンプチのバーコードを集めてもらったそうだ。これがわたしの一番のお気に入り。ハナ先輩は赤の爪とぎ、わたしがこの爪とぎを使って、どちらがより大きな音をたてられるかみたいなバリバリ爪とぎ対決も時々やっている。

ピカ子モンプチ爪とぎ

それから天井まで届く大きなやつ。上に乗ると世界に君臨した気持ちになる。これは途中にピンクの台がふたつついていて、真夜中の運動会ではこれを登ったり降りたりしながらバリバリやる。その時ついでにピンクの台の角をかじるのが好きなんだけど、台に巻かれたカーペットを食べると体によくないよと言われて、代わりにもらった段ボール箱をかじることにした。おかげでネコシュレッダースキルが上達した。我ながら素直で前向きな性格だと思う。

ピカ子爪とぎ大

ピカ子と大爪とぎ

わたしは爪とぎ以外では爪をとがない。でも実を言うと一、二度、仕事の椅子で伸びをしたついでにバリッとやったことがあって、その時ここのヒトに怪訝そうな顔をされたのは記憶している。

次はよくある質問からトイレ事情について話そうと思う。
第6回につづく

profile_pika
ピカ子さんはすてきな里親さんが決まりました。今までピカ子の話を読んでくれてありがとうございました。

#猫 #Pika

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