7月16日
わたしはピカ子。三毛の美猫だ。
このスタジオには一時預かりとかいうインターンできている。
近頃ここのヒトは、前髪ぱっつんだとか、ヘタなヘアカットだとか、わたしの顔を見ては笑う。ギザギザの前髪がおもしろくてしかたないらしい。
わたしの後頭部逆ハチワレが角度によってはカッパとかハゲに見えるよねとか、肩から腕にかけての柄がタトゥーみたいだとか、長いしっぽをピンとたててベッドの周りをぐるっと歩いている時はしっぽだけ見えるのでジョーズだとか、とにかくくすくすと笑われる。
ここに来たばかりの頃は、くりくりの目でかわいいね、美猫だね、毛並みが品があってきれいだねと、いつもほめられていた。特に表面だけ黒く中が白いわたしの毛にここのヒトは興味を持ったらしく、「だから白くうねった線が現れて大理石柄に見えるのか」とやたら関心していたっけ。わたしは三毛の美猫だったんじゃあないの?
わたしはここに来てから首輪というものをつけられた。これが嫌で嫌でたまらない。迷子になったら困るでしょと言われるけど、こんなものをつけられるくらいなら迷子になったほうがましだと思う。嫌なので、ただいま首輪反対デモやってます。
ここでわたしが次に嫌いなのは爪切りだ。手や足をつかまれて、その後肉球をむぎゅっと押されて、爪が出たところを銀色のへんなものでぱっちんと切られる。嫌なので、つかまれたとたん思いっきり手足を引いてするりと逃げる。わたしは根にもたない主義なので、気を取り直してスリスリしに戻るとまたやられる。そんな繰り返しが数日続いて気づくと爪が全部短くなっている。痛くないからいいんだけど、手足を持たれるのは本当に嫌いなんだ。なぜわかってくれないんだろう。
そうそう、いいことも話さないとね。次はわたしの好きなものについて話すことにします。おやすみなさい。
第4回につづく
ピカ子さんはすてきな里親さんが決まりました。今までピカ子の話を読んでくれてありがとうございました。
#猫 #Pika
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